良かったと思えることを三つ書き出してみましょう
●自己肯定感が育たない理由。
なぜ自己肯定感が健全に育たないのか?様々な理由が考えられますが、やはり生育歴は大きく影響していると考えられます。人間は他の動物と同様に生まれて間もない頃に学習した記憶が一生に影響を及ぼします。それは本能に近いレベルで記憶されるからです。
例えば、動物は誕生してから間もなくして親から生きるための手段を学びます。この時に学んだ知識や行動は一生忘れることはありません。生命に関わるからです。人間も基本的には動物ですから、脳の仕組み自体は動物と変わりはありません。これらのことからもわかるように、乳児期、幼少期に学習した記憶は一生に影響を及ぼすのです。母親の胎内にいた時の記憶も無意識レベルで残っていてその後の人生に影響を及ぼすとさえ言われているのです。
その大切な幼少期に、親から否定されたり拒絶されたりなどの不適応な養育を受けると、自尊感情、つまり自己肯定感が育つことなく身体だけが成長してしまうということになってしまうのです。
●自己肯定感が低いとなぜ人からの評価が気になるのか?
まず、自己肯定感が低いという事は、つまりは自信が無いということです。本人にはその自覚が無くても、他人から少しでもダメ出しと感じるような言葉をかけられると、とても動揺してしまいます。注意されたことが叱責されたと感じて、とても苦しくなります。確かに、ダメ出しされたり注意されたりすると誰もが落ち込んだり動揺したりすることはありますが、自己肯定感が育っている人と、育っていない人ではその苦しみや痛みのレベルが全く違うのです。
そもそもが健全に自己肯定感が育っていると、ありのままの自分を肯定的に受け容れることが無意識レベルで出来ています。ですので、他人の評価をそれほど気にしなくてもいられるのです。しかし、自己肯定感が育っていないと、自分の核と言うのものが存在しないので、他者からの評価=自分の価値と感じてしまうのです。人によって価値観も違うので、他者からの評価を過剰に気にしていると、周囲の言動に振り回されてしまうことになるのです。
●自己肯定感を上げるためには?
自己肯定感を健全に成長させるににはどのようにしたらよいのでしょうか?大きく分けて二つの方向性があります。一つはおおもとにある傷ついた心を修復する方向性であり、スキーマ療法や再決断療法、フォーカシング療法や交流分析などの心理療法を用います。過去の傷と向き合う事にもなるので、慎重かつ丁寧に時間をかけて取り組む必要がありますが、根本的な問題の解決にフォーカスする心理療法とも言えます。もう一つは、日々の生活の中で自己肯定感を育てていく方向性であり、ストレスコーピングやマインドフルネス療法、認知行動療法などを用います。実際の日々の生活の中で、心理療法で得た知識や気づきを活かしていきます。ここでは後者の方法を取り上げてみたいと思います。
●一日の終わりに良かったと感じることを三つ見つけてみよう。
日々の生活の中で自己肯定感を成長させるための方法にも様々なものがありますが、ここではその中の一つ「一日の終わりに良かったことを三つ見つけてみよう」を取り上げたいと思います。楽しかったこと、嬉しかったこと、ありがとうと思えたこと、頑張れたこと、誰かの役に立てたこと、誰かに助けてもらったことなど、どんなに小さなことでも良いので日々の生活の中に三つだけでよいので見つけて書き出してみてください。御飯が美味しかった、ペットと触れ合えた、誰かに声をかけてもらえた、などなど、意識することで今まで気づかなかった発見があります。嬉しいと思えること、楽しいと思えること、ありがとうと思えること、これらの感情は自己肯定感を育てるのにとても大切な養分となるのです。ポイントは紙に書き出すこと。見える化することで、より明確に脳に刻み込まれます。
●人はもともとネガティブな方向に目が向く。大切なのはバランス。
人間はもともとネガティブな方向に目が向くように出来ています。それは原始の時代に身を守るために常に危機感を持って生きてきた名残で、DNAレベルに組み込まれているからとも言われています。生存本能とも結びついている感じですね。それが、自己肯定感が低い人ではひときわ強く(ある意味必死に生き延びてきた、人生のサバイバーとも言える)、一日のほとんどをネガティブに感じて生きている方もいらっしゃいます。そのような方は、ポジティブに思えることを見つけることがとても苦手なのです。ですから、良かったことを三つ見つけてみて、と言われてもなかなか難しい方もいらっしゃいます。「御飯が美味しかったことなど、なんでも良いのですよ」と言われても、実際にはそんなに嬉しく思えてないので無理やり見つけているような感じがして嫌になってしまう、というような方もいるかもしれません。
その上で、大切なのは継続してみるということです。どのようなことでも三カ月続けるとそれは習慣になると言います。続けているうちにそれまでは感度が鈍かった「良かった、嬉しいと思えるアンテナ」が育っていきます。すると、必然的にそれまで感度が鋭かったネガティブなアンテナが反対に弱くなっていくのです。どちらか一方のアンテナが極端に高かったり低かったりするのではなく大切なのはバランスなのです。
●カウンセリングで自己肯定感を育てるために、自分に合った方法を見つけてみませんか。
カウンセリングでは、ここでご紹介した他にも自己肯定感を育てるための様々な心理療法をご提供しています。人の性格や特性はその人ならではの物なので大切なのは自分に合った方法を見つけることです。カウンセラーはそのためにクライエント(相談者)の方に寄り添いながら伴走者となってサポートをさせていただきます。自己肯定感が低く感じて苦しんでいる方や、カウンセリングにご興味をお持ちの方は気軽にウェッピーカウンセリングルーム日野・東京までお問合わせいただけたらと思います。あなたの心が癒されますように。