「存在するな」無意識の領域に存在するメッセージ
●禁止令って何?
禁止令という言葉を聞いたことがありますか?その言葉通り何かをすることを禁止するといった指示的命令のことです。コロナの流行真っただ中の頃には、一部で外出禁止令や出入国禁止令のようなものを発動した国もあったかと思います。
ここでいう禁止令はそのような法律的なものではなく、心理面による禁止令、つまりその人の心の奥深いところに刻み込まれてしまった指令(~するな)のことを指します。そしてその指令は本人も気づくことなく、その人を縛り続けて人生そのものに影響を及ぼしていきます。その禁止令が、いつどのように刻み込まれ、どのように発動されるのか。どのような種類の禁止令があるのか、はたまたその禁止令から解放される術はあるのか、などをこのブログでひも解いていきたいと思います。生きることがままならない、いつも同じことを繰り返して後悔してしまう、生き方を変えたいのに変えられない、など苦しみ悩んでいる方はその問題を解決するヒントがここに隠されているかもしれません。思い当たる方がいらっしゃいましたら、ぜひこのブログをご一読いただきあなたが楽に幸せに生きられるきっかけになれたら幸いです。
●禁止令はいつ組み込まれる?
例えば、子供の頃にこんな経験はありませんか?養育者(両親)から、自分の好きな遊びをしていたら、そんなくだらないことをするな!とか、男のくせにそんな情けないことでどうする!とか、女の子のくせに可愛げがない!とか、はたまたお前のために私は我慢してるんだ!とか、このような自己を否定されたり、拒絶されるような体験を繰り返し受けていくと、「存在するな」という指令(禁止令)を身体(脳)が自然に組み込んでしまうことがあります。
親はそれほど深刻ではなく、何気なくあるいは感情に任せて言っている言葉でも、子供の知能ではそれを理解するところまでは発達してなく、言葉通りに受け止めてしまいます。これはその子の責任ではありません。
●禁止令はどのように発動される?
「存在するな」の禁止令の場合、私は生きる価値のいない存在、私は生きていてはいけない存在、のように生きていることそのものに罪悪感を感じたり、なにかもめ事とかおきるとその人のせいではないのに自分のせいのように感じて罪悪感を感じたり卑屈になったり、責められるのが怖くておどおどしたり、人生そのものに希望を持てずに生きることにつながります。
その反面、人間には生存本能がありますから、自分を守るために過度に反論したり攻撃的な態度をとる場合もあります。恐れの裏返しから生じる怒りです。
他者から、ちょっとしたことで注意されたり、ちょっとしたミスや不機嫌そうな表情(その人にとっては普通?)をされたりするだけで過度に反応して生活しているだけで疲れ切ってしまいます。
●禁止令にはどのような種類がある?
ロバート・グールディングとメアリー・グールディングが最初に禁止令として12のテーマにまとめました。その後、グールディングの元で学んだジョン・マクニールがさらに25のテーマに分け、それらを5つのカテゴリーに分類しました。代表的なところでいうと、生存に関する禁止令として先ほど挙げた「存在するな」。人間関係に関する禁止令として「属するな」。自己に関する禁止令として「お前であるな」。能力に関する禁止令として「考えるな」。安全に関する禁止令として「信頼するな」、などが挙げられる。
例えば、「属するな」の禁止令を受けていると、誰かと一緒にいてもどこにも所属していない疎外感を感じたりすることがあります。また、「お前であるな」の禁止令を受けると、自己肯定感が得られずに常に他者からの承認を求めて苦しむ場合があります。「信頼するな」は文字通り自分以外の人間を信用できずに、全てを一人でやらないと気が済まなかったり、常に心配事を抱えて疲弊してしまう状況が考えられます。
●禁止令は取り除けるのか?
禁止令は心の奥深くに刻み込まれています。それは無意識の領域、身体反応に近いところに存在すると私は考えます。この禁止令は先にブログで挙げた「人生脚本」におけるネガティブな構成要素となっています。それを取り除く、あるいは上書きするにはその禁止令の深さにもよりますが根気を要する努力が必要となってくるでしょう。
しかし、変わりたいとの思いが強ければそこには必ず変化が訪れると私は考えます。その手段の一つが再決断療法です。いずれにしてもまずは、どの禁止令が重くのしかかっているのかをカウンセリングを通して探っていくところから始めます。再決断療法に関してはまた次の機会にブログに挙げたいと思います。
ウェッピーカウンセリングルーム日野ではカウンセラー自身が同様の苦しみを抱え、乗り越えてきた経験を持ちます。その経験と専門的スキルにおいてあなたの心に寄り添いながら、あなたの回復の手助けをさせていただきたいと願っています。生きることに苦しみを感じていたら、お一人で苦しまずにぜひお気軽にご相談ください。お問合わせ・ご相談は無料となっています。よろしくお願い申し上げます。