パートナーとの喧嘩で感情が爆発するなど、人間関係でのトラブルで悩んでいるあなたに。 あるがままを受け容れる「徹底的受容」を用いてみましょう。

感情を抑圧せずに、受け容れ浄化させる。


あるがままを受け入れる

 パートナーもしくは職場、家族間など、人間関係でトラブルが生じた時に怒りの感情を抑えきれずに爆発してしまったりすることはありませんか。その感情は皆さんがそれまで生きてきた経験が積み重なり合って出来たもので一筋縄では変えることは出来ません。かといってそのまま放置していても、その度合いによっては破滅的結果を招いてしまうこともあります。感情の起伏が強くそのために人間関係がうまくいかずに苦しんでいる方に有効な心理療法の一つに「弁証法的行動療法」というものがあります。この弁証法の持つ意味は、「受け容れる」ことと「変えること」の一見矛盾するようなことの両方を尊重して取り扱うことにあります。ここでは、あるがままを受け容れる「徹底的受容」に焦点を当てて解説します。あるがままを受け容れるとはどのようなことを指すのでしょうか?そしてなぜ感情が爆発しそうな時に役立つのでしょうか?関心を抱かれた方がいらっしゃいましたらぜひ、ご一読いただけたらと思います。感情のバランスを取って、生きることが少しでも楽になるヒントになれたら幸いです。

 

●なぜ、対人関係において怒りの感情が抑えられないでしょう?

 

幼少期の頃や子供時代に、両親から心理的に押さえつけられたり学校でのいじめにあったりすると、アダルトチルドレン複雑性PTSD(長期にわたるトラウマ体験)に本人も気づかないうちになってしまうことがあります。そうなると、対人不信や対人恐怖に陥り健康的で親密な人間関係を築くことが難しくなります。恋人の愛情が信じられないので、相手を試すような行動に出ることもあります。そして、相手の気持ちが自分にない事の証拠探しをして自ら関係を壊すような行動に出てしまうこともあります。その奥底には満たされることのない愛情欲求が隠されていて、それは怒りの感情を伴っています。そこが刺激されると我慢することが出来ずに感情が爆発してしまうのです。

また、怒りの感情は人間であれば誰もが持っているものですが、アダルトチルドレンや複雑性PTSDの方は怒りの感情を小出しにして相手に伝えることが苦手で、溜めるに溜めて一気に放出される場合が多く見受けられます。マグマがたまって抑えきれずに火山が爆発するようなイメージですね。

 

●まずは、あるがままを受け容れる努力をしてみましょう。

 

 感情を爆発させないようにするためには、考え方や行動を変えていく必要ももちろんありますが、長年の人生において身体にしみ込んだものを変えていくには時間と根気を要します。また、100%変わるということもあり得ません。そこで、従来の自分を否定するのではなく、怒りの感情がメラメラと燃えてきた時にそのような自分をありのままに受け止める作業が必要になってきます。それは自分のそれまでの人生を受け容れるという事でもあるのです。これは困難を伴う作業ですがまずは始めることが大切です。そして、受け容れることが出来るようになってくるに従い、対人関係がとても楽に感じてきます。

 

●あるがままを受け容れるということは、どのようなことなのでしょうか?

 

 あるがままを受け容れる、つまり「徹底的受容」とは自分・相手・出来事や状況などを批判せずに変えようとしないで現在の瞬間を徹底的に受け容れるということです。例えパートナーが自分の要求に応えてくれなかったり、自分の意に反した行動や言動が見られてもそれに対して異論を唱えたり変えようとしたりしないということです。それは、相手に迎合したり媚びたりするという事ではありません。相手をありのままに受け容れるという事です。

 また、過去に起きてしまったこと、両親に抑圧されたり理不尽ないじめにあって苦しんだりしたことなども、ありのままに受け容れる努力をします。過去に起きた事を変えることは出来ないし、全てが周りの環境や人々のせいではなく自分があって相手もいる、つまり全ては相互関係にあるということです。

 

●沸き起こる感情を抑えるなどということができるのでしょうか?

 

 感情を押さえつけることは感情の抑圧になってしまい、それは自分自身をさらに傷つけ怒りをため込むことになります。そうではなく感情に対処するというようなイメージでしょうか。それには訓練が必要です。すぐには出来なくとも続けていくことが大切です。ではどのように訓練していくのでしょうか。

 

●「受け容れるもの」と「変えられるもの」。

 

 「平安の祈り」をご存じでしょうか。「変えられないものを受け容れる落ち着きを、変えられるものは変えていく勇気を、そして二つのものを見分ける賢さをお与えください」という祈りです。ある意味、この言葉に徹底的受容が言い現わされているといっても過言ではありません。自分の感情も含めて、相手の行いや言動、出来事、環境、それらは変えることが出来ません。苦しくとも受け容れる努力をしましょう。受け容れるということは、客観視するということでもあるのです。自分視点ではなく俯瞰的に物事をみることを意識してみましょう。

 では、変えられるものとは何でしょうか?変えられるものは行動のありかたです。もちろん行動するには考え方も変える必要があります。それにはまず変えられないことがあることを理解する必要があります。今までだったら相手を変えようとして怒りが爆発していたことを受け止めて、相手は変えられない、ではどうすればよいのだろうと考えて行動してみましょう。例えば、その場から離れて頭が冷めるのを待つ、自分は自分でやるべきことを行う、無理して相手にしがみついていないで関係そのものを手放すことを考える、等々。それらも含めて「徹底的受容」なのです。

 

●受け容れることが出来るようになると人生が変わります。

 

 現在、自分が置かれている状況は過去の積み重ねの結果です。過去を恨んでいても何の解決にもなりません。過去もひっくるめて受け容れて、今後の人生をより良く生きていくためには必要なことは何か。その解決の鍵がこの「徹底的受容」、即ちあるがままを受け容れるという事にあります。人間関係を改善して、より良く生きていきたいと思われている方たちの、生き方のヒントにこのブログが少しでもなれましたら幸いです。

 

●最後に

 

ウェッピーカウンセリングルーム日野」では、主に対人関係で苦しんでいる方たちのカウンセリングを行っています。カウンセラーの上原自身も、アダルトチルドレンで苦しみ、それを乗り越えた経験を持ちます。その経験を活かして同じような苦しみを抱えている方たちの気持ちに寄り添いながら、その方に適した心理療法を提供してまいります。ここに挙げた療法もカウンセリングを通して行う事でより効果を得ることが出来ます。お一人で苦しまずに、まずは気を楽に持ってご相談いただければと思います。お問合わせ・ご相談は無料です。ホームページ内にお問合わせ先を明記してありますで、皆様からのご連絡をお待ち申し上げます。