過干渉をしてしまう。子供を手放せない母親の心理とは?母子カプセルの苦しみからの解放

過干渉から生じる苦しみからの回復に向けて。


過干渉イメージイラスト

過干渉とは、どのようなことを指すのでしょうか?わかりやすく言うと、相手が自分ですべきことにも干渉して口を出したり手を貸したりしてしまう事を言います。子供が親から過干渉をされる時期がずっと続くと、どのように育つことになるのでしょうか?自分に自信がなくなり、人に頼らないといられないようになります。自己肯定感が育たずに人の目や顔色を伺うようになります。過干渉が過保護へと発展すると、自分が王様のような気分になりわがままになることもあります。そして、干渉されていることで苦しみが生じて親を恨むようになります。そのことに気づかなかった親は、その時になって慌てふためきます。このように過干渉による弊害は数え上げるときりがないのですが、それでは過干渉をしてしまう親、主に母親の場合が多いのですが、どのような心理状態から過干渉をしてしまうのでしょうか?ここではその心理状態をひも解きながら過干渉の予防や、過干渉の弊害が生じた時におけるカウンセリングの取り組みなどをご紹介します。あなたの心が少しでも癒されることを願って。

●過干渉をしてしまう母親の心理とは?

世話焼き気質など持って生まれた性格もあるかもしれませんが、ここでは主に生育環境によって築かれた心理状態をひも解いてみたいと思います。以下にいくつか挙げてみたいと思います。

●幼少期に養育者との関係で緊張を強いられたり、否定されたり虐待などを受けたりして愛情を受け止めることが出来ずに成長した。その寂しさを子供に対して過度に愛を与える(過干渉)ことで埋めようとする。

●夫婦間がうまくいかずに、その満たされない思いや不安な思いを子供に過度に関わることで感じないようにする。

●自らも過干渉や過保護の親の元で生育すると不安神経症になる場合があり、子供の事が心配でたまらずに過干渉、過保護にならずにいられない。

 ●共通して言えるのは、子供と自分を同一化(母子一体性、母子カプセル)してしまい、自分が過去にしたくて出来なかったことや、自分が良かれと思う事を子供にも強要してしまうという事である。これは、子供が年齢的に大人に成長しても続く。

 これらの心理状態は、母親本人も気づかないうちに無意識に生じるもので、母親としては子供に対してよかれと思って接しているのです。

●過干渉をしてしまう心理の陰には愛着の問題が潜んでいます。

 上記にも少し挙げましたが、自らが母親との関係で乳幼児期に母親から適切なスキンシップや愛情を受けられないと、心に空洞が出来てしまい常に漠然とした不安感や孤独感を感じることになります。幸福感なども感じにくくなります。これを愛着の問題と呼びます。自分の中に適切な愛着(安全基地)が生じていると、自分と他者の間に健全な境界線が出来て必要以上に他者に依存しなくなります。自分と他者をしっかりと分けて考えられるように自然に育ちます。子供に対しても、乳幼児期など親が守ってあげなければ生きていけない時期にはしっかりと支えて、子供の成長時期に合わせて少しずつ手放していくことが出来ます。子供も自然な流れで親離れしていきます。反抗期が生じるのも健全に成長している証です。逆に反抗期がないのは、過干渉、過保護か虐待など不健全な環境で成長した場合が多いように見受けられます。

●子供にとって過干渉の弊害とは?

 それでは、子供が過干渉から受ける弊害にはどのようなものがあるでしょうか?最初の方にも挙げましたがここでも挙げてみたいと思います。

●自信が無く、自分で物事を決めることに強い不安を抱く。人に対する依存心が強くなる。

●失敗することを恐れて、人の顔色を伺うようになる。

●周りからどう思われているかが気になって仕方ない。嫌われることを過度に恐れるようになる。

●過保護的な要素が強い環境で育つと、王様になった感覚で思い通りにならないと気が済まなくなる。この場合でもプライドは高くなるが本当の意味での自信は育っていない。

 ●過干渉から生じたこれらの生きづらさから自分を守るために、アルコールや薬物、あるいは摂食障害、または異性などに対する依存症となり得る可能性も生じる。

 また、子供が成長して親からの支配関係の苦しみから脱するために抵抗を図るようになると、親は支配関係を維持しようとし、親子関係で葛藤や戦いの苦しみが生じるケースも多く見られます。親からしたら裏切られたような気持ちになり、子供に対して憎しみさえ感じることもあります。

●それでは、過干渉をしてしまう親へのカウンセリングによる取り組みはどのようなものがあるのでしょうか?

 現在の苦しみに対する対症療法としては、認知行動療法などが挙げられます。これはとても効果のある心理療法でご自身が子供に対して取っている行動や思考、そして感情を紙に書き出してカウンセラーと一緒に客観視する療法です。そして、過干渉してしまいそうな時に、それらに代わる新しい行動を見つけ出して実践していく努力を続けます。併せて、認知行動療法で見えてきた自分の考えの癖の大元にあるものは何かをフォーカシング療法やす交流分析などを用いて探っていきます。これは、幼少期の自分自身に触れる事でもあるので、その傷の深さによっては痛みも感じる作業です。カウンセラーは伴走者となって、その痛みが癒えるお手伝いをします。他にもその方の特性に合った心理療法を丁寧に説明しながら、やはり丁寧に時間をかけてその方が抱いてきた心の傷のケアをしていきます。そして、あくまで主体者はクライエントご自身です。

●過干渉、過保護を受けて育った方への取り組みは別のブログでも記載しています。

●過干渉の事や、カウンセリング等へご関心を持たれましたら、お気軽にお問合わせください。

ウェッピーカウンセリングルーム日野では、カウンセラー自身も共依存やアダルトチルドレンで苦しみ乗り越えてきた経験を持ちます。その経験からクライエントの気持ちに寄り添ったカウンセリングを心がけています。ここに挙げた内容やカウンセリングにご関心を抱かれましたら、お気軽にお問合わせ・ご相談いただけたら幸いです。あなたの心が癒されますように。