恋愛依存症とは?異性への囚われからの解放を目指したカウンセリング

恋愛依存症の心の奥に存在する苦しみを癒す


 恋愛依存症という言葉を耳にしたことはありますでしょうか?一度好きになったら、いつもその人の事ばかり考えている。職場の人や友人との約束が入っていても、その人と会う事を優先してしまう。ことあるたびに贈り物をしたり、お金を使ったりして相手の心を満たそうとする。自分は愛されているか、嫌われていないか、いつも不安で相手の気持ちを確かめないと気が済まない。LINEの返事などがすぐに返ってこないと不安で頭がいっぱいになる。そうかと思えば、恋人以外の異性の事も気になって仕方ない。一度男女の関係になると気持ちが冷めてしまう。それでも、いざ別れ話が出ると引き留めようとする。等々、安定した恋愛関係を継続できずに苦しみ傷つき、それでも同様のパターンを繰り返してしまう。恋愛依存症という正式な診断名はありませんが、このように異性のことで自分の健全な生活に支障をきたすようであれば、依存症と呼べる領域に入っていると考えてもよいかもしれません。ここでは、恋愛依存症と、そこからの解放を目指すためのカウンセリングに関してご説明しようと思います。ご関心を持たれましたらぜひご一読ください。

●恋愛依存症に陥りやすい人の傾向とは?

 恋愛依存症に陥りやすい共通の傾向として、自己肯定感が低いことが挙げられます。自己肯定感が低いと不安感も強く、その不安感には寂しさも伴い、誰かに依存して自分の心を満たそうとします。また、同性が苦手で異性の友人や知り合いが多いことも傾向の一つとして挙げられます。そして、恋愛だけではなくアルコールや薬物、買い物、ギャンブルや摂食障害など、何か他にも依存する傾向が見られることも挙げられます。恋愛依存症の人にとっての恋愛は一種の嗜癖(依存)であって、相手の事をよく理解した上で好きになることが健康的な恋愛感情だとすると、ほとんど一目ぼれや少し話をしただけで好きになったと錯覚してしまうのも恋愛依存症の方の特徴に挙げられます。

●恋愛依存症の奥に隠されたものとは?

 恋愛依存症の奥に隠されたもの、その要因としてアダルトチルドレン複雑性PTSD愛着障害などのように養育者から安心感を得られないまま成長したことなどが考えられます。母親から過保護、過干渉で育った場合なども女性に対して母親同様の甘美なイメージを求めて恋愛と錯覚して依存してしまうケースがあります。このケースもやはり自分に自信が無く、不安感に包まれています。不安感には寂しさが伴い、誰かといる時でもその寂しさは消えません。そして、自己肯定感が低いと誰かに関心を寄せられていないと自分が保てずに、人の気を引くことに意識が向きます。極端に言うと自分だけを見ていて欲しいのです。ですから、嫉妬心も強くそれもまた自分を苦しめることにつながります。苦しんでいる状態が自分にとって普通の状態で、安心できる状態もまた不安なのです。自ら苦しみを求めるケースさえ、珍しくはありません。そして、本人にはその自覚症状は全くない事がほとんどです。

 また、同性が苦手なことが特徴の一つとして挙げられますが、その要因には同性の親から虐待や冷たい態度、高圧的な態度を取られて異性の親から過干渉などの成育歴を持った場合など、同性は敵で自分を責める怖い存在、異性は自分を守ってくれる存在、などの思考が自動的にインプットされてしまい、成長してからもその思考に支配されていることが考えられます。精神科医のフロイトなどもエディプスコンプレックスとして、人はもともと同性の親を敵視して異性の親に愛を求める(男児と女児で違いはあるものの)傾向を挙げていますが、健全な成長の過程を経ていく中で、異性への愛へと変容していくところが、恋愛依存症の傾向のある方はこの部分の成長が止まっていると考えることも出来るのではないでしょうか。

●恋愛依存症の弊害とは?

 さて、それでは恋愛依存症に陥ることの弊害にはどのようなものがあるのでしょうか?代表的なものをいくつか挙げてみたいと思います。

●恋愛対象の人の事で常に頭がいっぱいになり、やるべきことが手につかない。

●恋愛対象の人を失う事が怖くて、その人の事を優先するあまり他の人間関係を失っていく事になる。そのため、さらにその人に依存していくようになる。

●相手に対する依存度が高いと相手も負担に感じて別れようとするが、必死にしがみついて自己肯定感はさらに傷ついていく。自分で自分をみじめな状態に追い込んでいく。

●自傷行為などで自分を傷付けることで、相手を引き留めようとコントロールする。

●苦しさから逃れるために、アルコール、処方薬、過食嘔吐などに依存する。恋愛依存・アルコール依存など複数の事に依存することをクロス・アディクションと呼ぶ。

●同一のパートナーと長期に渡る安定した関係が築けないために出会いと別れをくり返し、やがては孤独な状態に陥る。心が満たされることは決して無い。

●恋愛依存の傾向のあるものがお互いに惹きつけられる確率はとても高い。そのためにお互いをコントロールしようとする。そこには健全な愛情は育たず、やがては傷つけあって破綻するケースが多い。

●養育者から虐待などを受けて育つと、同じように虐待する傾向のある異性を選んでしまう。それでも、その人から離れられずに、子供がいる場合など子供をも巻き込んで傷つけてしまうケースが存在する。

 このように、恋愛依存症などと聞くとそれほど大した障害ではないかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、ともすれば他の人も巻き込んでしまったり、他の障害も併せ持ったりと、人生そのものに大きく影響を及ぼす障害でもあるのです。

●恋愛依存症に対するカウンセリングの治療とは?

 依存症傾向のある方の心理的治療に必要なことは、まずは自分にその問題があるという事を自覚するところから始まります。ある意味、その依存を生きるための心の拠り所にもしているので、なかなか認めることが難しい障壁でもあるのです。ただし、カウンセリングに来られる方、もしくは受けてみようと思われている方であれば、すでにご自分の問題に気づき始めているということではないでしょうか。そこで、認知行動療法などを活用して、ご自身が恋愛に関して実際にどのような行動を取って、それが自分自身の生活にどのように影響を与えているのかなどを客観的に把握していく事から始めていくと良いでしょう。そして、その行動に至る考え、それに伴う感情なども見ていきます。この作業は一人だと、どうしても依存から生じる思いから離れられないので客観的に見ることが難しく、第三者的な立場で感情に囚われていないカウンセラーの手助けが必要になります。併せて、交流分析スキーマ療法フォーカシング療法などを適宜組み合わせて、その思考や感情の大元にある傷ついた心の部分に触れて癒していく作業も試みます。これは、とてもデリケートな作業で、自分が触れたくない、無かったことにしたい心の傷に触れる事でもあるので、カウンセラーと丁寧に時間をかけて取り組んでいく必要があります。自分が恋愛感情だと思っていたことが依存心からくるもので、それがどのように自分自身を苦しめていて、もう手放したいと思えることが回復にとって必要なステップでもあります。それは、異性を愛するという事はどのような事なのかを、今後の人生において改めて学び直していくことにもつながっていきます。

●もしかしたら自分も恋愛依存では?もしくはカウンセリングにご関心を抱かれましたら、お気軽にお問合わせ・ご相談ください。

 ウェッピーカウンセリングルーム日野では、主に人間関係にまつわる生きづらさを感じられている方へ向けたカウンセリングを提供しています。どのような形であれ、人の悩みの90%以上は人間関係における悩みと言われています。特に男女間における悩みは、年齢性別問わず誰もが持ちうる悩みでもあり、人に相談しづらい悩みとも言えます。どうか、お一人で悩まずにまずは一度、ご相談・お問合わせどいただけたらと思います。あなたの心がどうか癒されますように。