自傷行為が止められない方に対するカウンセリング

自傷行為の裏側に潜んでいる苦しみを癒す


 自傷行為はその名の通り、自分自身を傷つける行為です。例えば、リストカット・オーバードーズ(OD)・摂食障害・SEX依存・アルコール依存や薬物依存。過度なボディピアスやタトゥーなども含まれるケースがあるかもしれません。この他にも様々な自分自身の傷つけ方をしている方もいらっしゃるでしょう。自傷行為はある意味、依存行為(嗜癖)でもあり、理性では自分がやっていることのおかしさを分かっていても、それを手放すことはかなりハードルが高いと言えるのではないでしょうか。そして、その行為の裏には自分でも気づいていない心の傷が潜んでいるのではないでしょうか。

 自傷行為は自分の苦しみを和らげる行為でもありますが、それと共に自尊感情はさらに傷つき、死に至るケースもあるのが現実です。自傷行為の要因には様々なものがあります。ここでは、その要因も含めて自傷行為に関するご説明と、自傷行為からの解放を目指したカウンセリングの解説をいたします。生きづらさから自傷行為を手放せない方やその傾向のある方、またはカウンセリングにご関心をお持ちの方はぜひご一読いただけると幸いです。

●自傷行為が及ぼす影響とは?

 自傷行為自体は様々な行為が見られますが、共通して言えることは自分の身体や精神を自ら傷つけるような行為を指します。よく耳にする行為として、オーバードーズ(略してODとも呼ばれる大量服薬行為です)、手首を切るリストカットやアームカット(腕や太ももを刃物で切る)が挙げられます。また、摂食障害のように過食嘔吐、あるいは拒食にて骨と皮のような状態まで瘦せ細ってしまうようなケース、不特定多数の人との性行為、アルコールや薬物依存などのように身体だけでなく自尊感情自体をも自ら貶めていくような行為も自傷行為に含めて良いのではないでしょうか。過剰なボディピアスやタトゥーなども、ある意味自傷行為の一環の一つに挙げて良いかもしれません。

 

 オーバードーズだけでは死に至らないと考えている人もいるかもしれませんが、薬の種類や量、体調などによって実際に死に至るケースもあります。特にアルコールと一緒に服薬すると、薬の効果が増大して危険度が増します。また、脳に与えるダメージも相当なものがあると考えてよいでしょう。摂食障害に関しても体重減少があまりにも激しいと、身体機能を損傷し死に至るケースがあります。アルコール依存、薬物依存の場合は身体を壊すだけでなく精神的に追い詰められて自死に至るケースも見られます。また、与えるダメージは身体的なものだけではなく精神的にもかなりのダメージが考えられます。脳の器質自体にも相当の影響が考えられます。 

●自傷行為は愛への渇望か?

 自傷行為の要因には様々なことが考えられますが、共通しているのは強い不安感や激しい感情への囚われに支配されていることが考えられます。自らの身体を傷つける痛みや苦しみで、その不安感や感情の痛みを感じないようにしている可能性があります。また、自分の人生に対して絶望感や虚無感などを抱いていると、リストカットなどで生じる痛みや流れる血を見ることで、生きている感じが得られるとの話も聞きます。それらの感情の拝啓にはアダルトチルドレン複雑性PTSD愛着障害などが潜んでいる可能性もあります。幼少期から厳しい環境を生き抜いてくる中で身につけた感情なのです。その生きづらさゆえにアルコール、薬物、SEXなどへの依存症に陥るケースもあります。そこから、リストカットやオーバードーズなどの自傷行為に至るケースも多く、依存行為も含めて自分を傷つける事には変わりがないので、自傷行為の範疇に入れても良いかもしれません。

 

また、境界性パーソナリティ障害の方も自傷行為が見られるケースがあります。この障害は見捨てられ不安が強く、その強い苦しみや関心を受けたいとの思いから自傷に至るケースや、自傷行為そのものに一種の酔いを感じて習慣化するケースもあります。

 一概には言えませんが、自傷行為に至る人の心には深い悲しみが潜んでいるように思えます。幼少期の頃から傷ついてきた経験や愛を感じられずに生きてきた経験、周囲と交わることのできなかった経験などから、心に空洞が空いてしまい、それを自分を傷つけることによって満たそうとしている気がします。ある意味、愛への渇望とでもいえましょうか。その心の空洞をどのようにして埋めていくのかが、カウンセリングに求められていることかもしれません。

●自傷行為に対するカウンセリングの取り組みとは?

 命に危険を及ぼすような、リストカットやオーバードーズ、または薬物依存、アルコール依存等の場合は医療的措置の必要性が見込まれる場合もありますが、ここではカウンセリングによる心理面で対処法をご紹介します。いずれにしてもまずはカウンセラーとの対話を通して信頼関係を築いていく事が大切です。クライアント(相談者)の苦しい気持ちに寄り添いながら、自傷行為に対して否定せずにその苦しい心の内をご本人が気づいていくようにサポートをしていきます。

 主な心理療法としては以下をご参照ください。対話を重視してご本人が自分の問題に気づき、向き合えあるようにサポートする来談者中心療法。自分の思考や感情、行動を客観視することで自分の問題に気づき対処法を考える認知行動療法弁証法的行動療法。自分の奥底に潜んでいる傷ついた心にフォーカスして癒していく交流分析スキーマ療法フォーカシング療法。自傷行為への衝動に対するストレスコーピング(対処法)マインドフルネス療法。これらの両方をクライエントの方と丁寧に相談・ご説明しながらその人に適した両方を随時組み合わせて提供してまいります。現在の自傷行為に対する対処法とご自身の内面の両方にフォーカスすることで根本的な部分からの癒しを目指していきます。

 

 また、当事者の方だけでなく必要性があれば、当事者を取り巻くご家族の方などに向けたカウンセリングも提供いたします。人間関係等の苦しみから生じる自傷行為などは、当事者の方だけではなく周囲の理解や関係性も重要になってくるからです。

 上記にも示しましたが自傷行為は、自分を傷つけることによって心の空洞と化した自尊感情の低さや、絶望感、虚無感、不安感など埋めようとする行為です。自分は愛されてよい存在、愛されている事への気づきが重要です。あまりに厳しい環境の中で生きてきた影響で、そのことが見えなくなっている可能性があります。その上で今まで自分を苦しめてきた自分自身の問題に取り組んでいく事が解決のための鍵となります。カウンセリングではそこを丁寧にクライエントの方の気持ちに寄り添いながら、回復のためのご支援をさせていただきます。

●自傷行為に関して、カウンセリングついてなどお気軽にご相談ください。

 最後になりますが、自傷行為はその行為自体への問題だけではなく、その奥には深い心に傷が原因となっていて、その部分を丁寧に癒していく事がとても重要です。お一人での解決やご家族内だけでの解決は難しいものがあるのも事実です。お一人や身近な方達だけで悩まずに、自傷行為などにおけるカウンセリング、もしくはカウンセリングそのものにご関心を抱かれましたら、ぜひお気軽にウェッピーカウンセリングルーム日野まで、お問合わせ・ご相談ください。あなたの心が少しでも癒されますように。