パーソナリティ障害の方へ向けたカウンセリングのご紹介

パーソナリティ障害における感情の嵐への取り組み


 パーソナリティ障害は、認知や感情、行動などにおける個人の特性により、社会生活、人間関係構築などにおいて生きづらさが生じる障害です。パーソナリティ障害にはいくつかのタイプがありますが、代表的なものとしては境界性パーソナリティ障害(BPD)などが挙げられます。特徴としては感情がとても強く、感情に支配されての自傷行為などの衝動的な行動が見られます。自己が不安定で見捨てられ不安が強く、対人関係における苦しみが強いのも特徴の一つです。境界性の意味は、神経症と精神疾患の境界にあるという意味で名付けられたのですが、パーソナリティ障害自体、診断が非常に難しい障害で、診断基準(米国精神医学会:DSM-5)はあるものの、精神科医によって診断が分かれるところあります。ただし、当事者の方の苦しみはかなり強いものがあり、治療が難しい障害と言われてもいますが、ここではその苦痛の緩和の効果が見込まれるカウンセリングのご紹介をさせていただきたいと思います。パーソナリティ障害に関わることで悩まれている方や、カウンセリングにご関心のある方は是非ご一読ください。

●パーソナリティ障害とは?

 上記にも挙げましたが、その認知・感情・行動的特性により特に対人関係において支障をきたす障害です。原因としては、遺伝的要因・生育環境・社会的な要素・心理的要素など様々なものが組み合わさっていることが考えられますが、明確には分かっていません。ただし、成育歴などにおいて、養育者の情緒が安定せずに常に危機感や、不安感、緊張感を抱き続けて育った場合などは、認知にゆがみが生じて見捨てられ不安などに常時包まれて、神経自体が侵されてしまう事も考えられます。それがさらに思春期などを経て成長するにつれて障壁となり、人格的特性が強化されていく事が考えられます。また、強いトラウマ体験なども影響を及ぼしている可能性があります。

●パーソナリティ障害のタイプ。

以下に代表的なパーソナリティ障害のタイプとその特徴を挙げます。

●境界性パーソナリティ障害

自己に対する認識や感情が安定せずに、特に感情面での起伏や衝動性が強く、突発的な怒りの表出や、激しい不安化に包まれたりする。見捨てられ不安、自傷行為、他者に対する試し行動などが見られる。

●自己愛性パーソナリティ障害

ナルシズム的な自己愛が強く、他者からの承認を求め、ないがしろにされた感、見下された感などに対して過敏に反応する。また、苦しんでいる自分に対して陶酔するケースもある。自分の考えを優先させたいとの思いが強く、対人関係においての障壁となる。

●妄想性パーソナリティ障害

他者から迫害されている、悪意を持たれている、騙されている、憎まれている、攻撃されるなどの信念が強く、その証拠探しをする。浮気されている等の嫉妬妄想も特徴的である。対人関係の基本が不信にあるので、健全な人間関係を築くのが難しく精神的疲労感も激しい。

●ジゾイドパーソナリティ障害

感情の表現に乏しく、他者への関心が薄いため、他者との関りを避けて一人でいる事を好む。周囲からは冷淡な印象を受けることもあり、孤立した生活になりがちで社会生活を送る上での障壁となり得る。

●回避性パーソナリティ障害

自己肯定感が低く、その反面、プライドが高い部分もあり恥をかくことを恐れ、他者と積極的に関係を持つことなどへの回避行動が見られる。職場などでも、業務上必要な相談や質問などからの逃避も見られて、生活を送る上で支障をきたすこととなる。

●演技性パーソナリティ障害

自己顕示欲が強く、他者からの称賛や注目を浴びることに喜びを感じる。他人を喜ばせることで支配しようとし、思ったような反応が返ってこないと強い不安感や自己嫌悪感に包まれることもある。他者の評価に振り回され精神的に疲労してしまう。

●依存性パーソナリティ障害

 自己肯定感が低く、また自分を守りたいとの欲求も強いため他者へ頼りたいとの気持ち、依存心が強い。また、世話を焼いてもらいたとの気持ちも強く、公平な人間関係が築きにくく、他者に支配されてしまう事にもつながる。

●パーソナリティ障害に向けたカウンセリング。

 パーソナリティ障害の苦しみは、その特性によって偏った認知から生じる感情の嵐の苦しみとも言えます。そこで、認知行動療法弁証法的行動療法などで自分の認知を客観的に見つめ、社会生活を送る上でより適正な認知を探っていきます。併せてストレスコーピングなどで、感情の嵐に対する対処法や、フォーカシング交流分析などで自分の認知の要因となっている出来事やトラウマにもアプローチしていく事で、改善を図っていきます。時間は要しますが、根気よく丁寧にカウンセリングを行っていくことが解決のための鍵となります。

 

パーソナリティ障害やその傾向で悩まれている方、そのご家族や身近な方など、またはカウンセリングにご関心をお持ちの方など、お気軽にウェッピーカウンセリングルーム日野までお問合わせ・ご相談いただけたらと思います。あなたの心が少しでも癒されますように。