自分の身体に働きかけて、不安や緊張を癒す
●トラウマ体験を抱えている方は常に不安と緊張の状態にあります。
アダルトチルドレンの方や複雑性PTSDの方のように過去に辛い体験をしていると、それが自分でも気づかぬままにトラウマとなっていることがあります。もちろん、暴行や災害などで強いショックを受けてのトラウマも存在します。または、愛着の問題を抱えた方も母親から愛を受け取れなかったことがトラウマ体験となっていることもあります。このようにトラウマは心に傷を負っている方のほとんどに、形は違えども存在していると考えて良いかと思われます。この様な方たちは、そのトラウマ体験がゆえに、常に不安感に包まれ身体は緊張した状態となります。それがあまりにも普通になっているために本人は気づかないことが多いのです。
また、トラウマ体験をお持ちの方は呼吸が浅い事が多く見られます。これは危険な目に合う事を常に予想していることからも生じます。肩や首がこっている方、背中に痛みをお持ちの方も緊張していることへの証となります。
●バタフライ・セラピーは自分の身体に働きかけるアプローチです。
トラウマ体験から生じる不安感や緊張感は、精神面だけではなく身体に張り巡らされている神経にも組み込まれています。ですから、認知行動療法などにおける気持ちの持ちようを変える、考え方を変えるというアプローチだけでは不十分なところがあります。認知行動療法そのものはとても効果が見込まれる心理療法ですが、身体そのものに働きかけるアプローチも組み合わせることで、より効果を発揮するのです。また、身体にはホメオスタシスと言って、外部などの状況によって変化が起きたとしても元の状態(健康な状態)に戻ろうとする機能、自浄能力機能が備わっています。そして、バタフライ・セラピーは身体に直接働きかけていく心理療法です。次に、その方法をお示しします。
●バタフライ・セラピーの行い方。
まず、腕を身体の前で交差させるようにして、両手を内側に開いて親指を交差させます。そのまま、指先が軽く鎖骨の下あたりに触れるようにします。次に片方ずつ指先で鎖骨の下あたりの胸を軽くトントンと叩きます。その時にマインドフルネスの呼吸法のように身体の力を抜いていく感じでゆったりとした呼吸を繰り返しましょう。肩を軽く叩く方法もありますし、両方の手で同時に叩く方法もあります。自分が一番リラックスできる方法を試してみるのも良いでしょう。不安の理由や緊張の理由を考えるのではなく、不安な感情や緊張感を優しくいたわるようなイメージで行うと良いでしょう。蝶が羽をパタパタするイメージからバタフライ・セラピー(バタフライ・ハグ)と名づけられました。イグナシオ・ジャレーロ博士らによって開発されたセルフヒーリングの手法です。
●バタフライ・セラピーの効果。
両方の肩や胸を軽くとんとんと叩くことによって、左右の脳のバランスの均衡が取れると言われています。不安や緊張感の軽減、トラウマの緩和などにも効果が認められています。また、使い方もフレキシブルで職場や生活場面で不安や緊張に囚われた時に用いたり、夜寝る前に心を鎮めるために用いたりしても良いでしょう。
カウンセリングでは、バタフライ・セラピーの他にも心を安定させるためのマインドフルネス・ワークなどストレスに対する対処法(ストレス・コーピング)のコーチングなども行っています。皆様がご自身に合った対処法を見つけるお手伝いをしております。バタフライ・セラピーやカウンセリングにご関心を抱かれましたら、お気軽にお問合わせください。