絵画療法から得られるもの。それは頭で考えていてもわからなかった心の内面への気づき。

心の思うままに、自由に表現する。

●絵画療法とはどのような心理療法なのでしょうか?

  絵画療法は芸術療法と呼ばれる分野の中の一つです。芸術療法には、絵画療法の他に造形(粘土や陶芸など)、音楽、ダンスなどを活用したものがあります。絵画療法は芸術療法の中で最も多く用いられている心理療法でもあります。

 では、絵画療法から得られる効果にはどのようなものがあるのでしょうか?頭の中で考えていても言語化できなかった自己の内面の思いや感情への気づき、描くことによる感情のカタルシス(浄化)、誰からも否定されずに自由に描くことで自己肯定感の向上など様々な効果が見込まれます。

●絵画療法には大きく分けて二つの分野があります。

一つはアートセラピー(Art Therapy)であり、もう一つはサイキアトリックアートセラピー(Psychiatric Art Therapy)と呼ばれるものです。アートセラピーはクライエントの方が自由に思いのままに、描いたり表現したりすること自体にセラピー効果が見込まれるというものです。カウンセラーは描かれたものを基にクライエントと話し合うことはあっても、カウンセラーが主体となっての分析などは行わずにあくまでクライエントの方が自ら感じ、気づきを得られるようにサポートをします。

 もう一つのサイキアトリックアートセラピーは精神科病院などのプログラムの一環として行われることが多く、患者さんの描いたものを臨床心理士が分析して、その結果を本人も含めて医療スタッフと共有して治療に活かします。ただしアートの分析に関しては、臨床研究の結果などに基づいて行われますが心理士の主観などが影響しないように、複数のスタッフで分析結果を話し合うなどの配慮が求められます。

●具体的にはどのようなことを行うのでしょうか?

絵画療法の手法としては、自由画法と課題画法があります。自由画法はその名の通り、クライエントが自由に描きたいものを描く画法です。課題画法は描き方やテーマなどを決めて、それに沿って描く手法です。以下に代表的な課題画法を二つほどご紹介します。

・スクリブル法:サインペンで思いのままに線を描き(殴り書きのようなものでOK)、その線画からイメージしたものについて色を塗っていきます。言葉では表現出来なかった思考や感情への気づきなど、内面の探求に役立ちます。

・動的家族画法:家族が何かしているところを連想して描きます。家族内の力動的関係や家族の心理状態、それをクライエントがどのように捉えて感じているかなどを視覚的に理解することが可能です。

この他にもコラージュ療法のように、雑誌や広告、新聞などを切り抜いて思いのままに台紙に張り付けていく手法もあります。自分が関心を持っていることや、今の気持ちなどへの気づきを得ることに役立ちます。

アートセラピーでは、描かれたものをカウンセラーが一方的に心理分析を行うのではなく、対話を通してクライエントの気づきを促したり、感情の浄化が図れたりするようにサポートをしていきます。また、クライエントが気づかなかった自己の内面に触れて動揺するケースも考えられるので、カウンセラーはクライエントの様子に注意を向けながら進めていきます。

 

●絵画療法を行うタイミングは?

絵画療法は心理療法の柱として行うのではなく、来談者中心療法や、認知行動療法など思考や言葉を用いた心理療法に行き詰った時などに、一息つくなどの目的として用いても良いでしょう。また、ストレスの解消にも役立ち、言語での表現が苦手な方にとっても有効な心理療法と言えます。

 絵画療法も含めてカウンセリングにご関心のある方は、お気軽にウェッピーカウンセリングルーム日野・東京までお問合わせ・ご相談いただけましたら幸いです。あなたの心が癒されますように。