孤立するかも、一人ぼっちになってしまうかも、怖くて人の集まりに参加できない。それは社交不安障害かもしれません。

●社交不安障害とはどのような症状を指すのでしょう?

 社交不安障害とは、社会生活において人と関わるときに不安や恐怖などの感情が生じて生活そのものに支障をきたす障害と言えます。例えば、初対面の人との会話や、人前でのスピーチ、会食の時などに強い不安や緊張を感じて、声に詰まったり、頭が真っ白になったり、震えが生じたりすることがあります。

 また、中には公衆トイレなどで他に人がいると用を足せない方もいらっしゃいます。文字を書いているところを人に見られていると感じると手が震えるなどの症状の方もいらっしゃいます。

 その他にも、よく見られる症状として集会などへの参加に対する不安や恐怖を感じる方もいらっしゃいます。その不安や恐怖から逃れるために、自ら社会生活における行動に制限をかけるケースも決して珍しくありません。

●人の集まる場への参加に対する恐怖の裏にあるもの。

 なぜ、人が集まる場が怖いのか?その根っこには孤立することへの恐れ、疎外されることへの恐怖が隠されているのかもしれません。では、なぜそのような思いが生じるのか?その要因には様々なものが考えられます。現在は多様性の時代などと言われていますが日本はもともと同調圧力の強い文化があります。良く言うと「和」を尊重するという感じでしょうか。しかしそれは時には、周囲と変わっていると思える人への排除にもつながっていきます。また、スケープゴートと言って集団ストレスの攻撃対象になることもあります。発達障害の傾向のある方などはそのような対象になることもあり、孤立・疎外された経験があってトラウマとなっている可能性もあります。

 その他にも、アダルトチルドレンの方のように幼少期に抑圧されたり緊張を強いられたりと、適切とは言えない家庭環境で育つと自己防衛本能が強く、自意識が過剰な状態となって集団の中をことさら恐れるようになることも考えられます。その他にも、元々緊張しやすいタイプの人など様々な要因が考えられるでしょう。

●社交不安障害に見られる二つのタイプ。

 社交不安障害は大きく分けると二つのタイプが見られます。一つは人前で話すことなど特定の状況において不安が生じるケース。もう一つは広範囲な状況において不安が生じるケースです。前者を「限局型」、後者を「全般型」と呼ぶことがあります。

 限局型に関しては、ロールプレイ行ったり、その状況をなるべくハードルの低いものから体験していくことで不安を克服していくことが可能です。全般型は、先に挙げたように幼少期からの心の傷が深く影響しているケースが考えられるので、より丁寧に根気よく対処していく事が求められます。

●社交不安障害から生じる、さらなる苦しみ。

 社会生活を送るにあたって人と全く関りを持たずに生きていく事は不可能です。社交不安障害を抱えている方は、日常生活の中で不安や恐怖が生じる頻度が多いのでそれを和らげるためにお酒を日常的に飲んで、やがてはアルコール依存症に至るケースも珍しくはありません。依存対象はアルコール以外にもギャンブルなど人それぞれです。そしてそれは、さらなる苦しみを重ねていく事に他ならないのです。

●社交不安障害に向けたカウンセリング。

 人に関わる事での不安や恐怖を性格の問題として捉えて、自分一人で克服しようとしたり、心理学的な知識のない人に相談して解決を図ろうしても無理が生じます。精神論で何とかなる問題ではないからです。それは克服できない自分をさらに責めてしまう事にもなり兼ねません。

 しかし、あきらめる必要はありません。カウンセリングなどで適切な対処を丁寧に行っていく事で改善されていきます。では、どのようなことをカウンセリングで行うのでしょうか?社交不安障害に向けては、主に認知行動療法(CBT)弁証法的行動療法(DBT)、エクスポージャー法(暴露療法)などを組み合わせて行っていきます。

 CBTやDBTでは、不安な状況に対しての思考や行動パターンを見ていき、それが現実に即したものかどうかを客観視することで思考や行動の変容を目指していきます。またエクスポージャー法ではハードルの低いものからその状況に徐々に慣れていくことを目指します。人間は、たいていの状況には慣れていく力が備わっているとの考えからです。

 また、全般型のように心の深い傷が影響している場合は交流分析スキーマ療法などを組み合わせて、丁寧かつ慎重に傷ついた心の修復に取り組んでいきます。

●社会生活で生きづらさを感じたら・・・

 社会生活を営んでいく上で、人と関わる場面で、苦しさや生きづらさを感じている方がいらっしゃいましたら、ぜひお気軽にお問合わせやご相談ください。ウェッピーカウンセリングルーム日野・東京ではカウンセラー自らもアダルトチルドレンとして、生きづらさを体験し、それを乗り越えて今があります。クライエントの方の気持ちに寄り添うことを理念としたカウンセリングに取り組んでいます。あなたからのご連絡を心よりお待ち申し上げます。