生き方が楽になる考え方ー変えられないものと変えられるものを見分ける

平安の祈りを活用する。

 ●ニーバーの祈りをご存じですか?

 ニーバーの祈りは、アメリカの神学者:ラインホルド・ニーバーが作者であるとされる祈りで、別名「平安の祈り」とも呼ばれています。アメリカで生まれたアルコール依存症の方たちのセルフヘルプグループ(自助グループ)であるアルコホーリクス・アノニマス(通称AA)で用いられるようになり、その後心理学の世界でも取り入れられるようになった考え方です。以下に、代表的に活用されている文言をご紹介します。

「神様、どうか私にお与えください。自分に変えられないものを受け容れる落ち着きを。変えられるものは変えていく勇気を。そして二つのものを見分ける賢さを」。

●なぜ、この祈りが心理学の世界で活用されるようになったのでしょうか?

 神経症、発達障害などの傾向のある方は、他者と自分との境界を持つことが苦手とされています。自分にはどうしようも出来ないことで悩んだり、それをどうにかしようとして苦しんでいる方たちが多くいらっしゃいます。

 例えば、人間には自我と言うものが存在します。生まれ持った気質や生きてきた環境の中で身につけた考え方や感情です。それを他者が変えようとしても激しく抵抗をするか、抵抗を示さなかったとしても心の中では不快に感じていることもあります。他者との境界が曖昧な人にとっては、他者の領域に入り込んでの発言や行動が生じやすいので、そこに軋轢が生じるケースも多く見られるのです。また、こだわりがとても強くて思い通りにしたくて他者と争ったり、現実が受け入れられずに苦しんでいる方もいらっしゃいます。

 この祈りが求めている、変えられないもの(受け容れていくもの)と変えられるもの(自分の問題)を見分けていくことが出来ると、それだけでも人間関係や生きることへの軋轢が軽減されていくのです。

●絶対的受容という考え方。

 境界性パーソナリティ障害(BPD)のように、感情がとても強くて理性ではなかなか衝動(感情から生じる)が抑えられない方にも、効果が証明されている弁証法的行動療法(DBT)の中に、絶対的受容と言う考え方があります。絶対的受容とは、全てをありのままに受け容れるという事、つまり自分の価値観で判断しないという事です。それは自分自身についてもいえる事なのです。

 しかし、人は皆それぞれの価値観を持って生きています。意識はしていなくてもそれは存在します。その価値観に対するこだわりが強すぎるところに苦しみが生じるのです。そこで、少しでも絶対的受容に近づくために、自分以外の力に頼るという考え方があります。

●自分以外の力にお任せする。

 祈りには、神様と言う言葉が出てきます。信仰等に対して拒否的な考えをお持ちの方は、その部分で否定的な反応をされる方もいらっしゃるかと思います。元々神学者の方が創造した文言ですので、原文では神様と言う言葉が登場しますが、アルコホーリクス・アノニマスや心理学で適用される神様は、ご自身が信じられそうな(感じられそうな)ものであれば対象は何でも良いのです。自然の摂理をイメージしている方もいれば、自分の中に存在する生命エネルギーのようなものをイメージされる方もいらっしゃるかもしれません。または、何かはよくわからないけど光のイメージとか。

 自分の力で判断しようとするところに苦しみが生じるので、「自分以外の大いなる力」に丸ごと自分をお任せするようなイメージだとも言えます。変えられないもの(受け容れるもの)と変えられるものを見分けることも含めて、丸ごとお任せする(委ねる)と言うような感じで。それが絶対的受容の核心とも言える部分ではないでしょうか。

●カウンセリングではマインドフルネス療法など、絶対的受容に対して役立つ心理療法をご提供しています。

 この考え方が身につくようになると、段々と生きることが楽に感じられてくるようになります。カウンセリングでは弁証法的行動療法や、そのベースともなるマインドフルネス療法など、絶対的受容を身につけるために役立つ様々な心理療法をご提供しています。生きづらさを感じている方や、カウンセリングにご関心を抱かれた方がいらっしゃいましたら、お気軽にウェッピーカウンセリングルーム日野・東京までお問合わせいただけましたら幸いです。あなたからのご連絡を心よりお待ち申し上げます。

 あなたの心が少しでも癒されますように。