弁証法的行動療法(DBT)

 弁証法的行動療法(DBT)は、認知行動療法をベースに、今までに身につけた考え方と新しい考え方の中間を模索していく療法とも言えます。アメリカの心理学者マーシャ・リハネンが提唱しました。

 子供の頃に受けた、心の傷があまりに強く認知行動療法によって新しい考え方が理屈ではわかっていても、感情の方が優先して苦しみが取れないという方も存在します。怒りや恐れの衝動に耐えられずに行動に出てしまって人間関係を壊すことに至ってしまうことにもつながりかねません

 例えば、挨拶をしたのに返してくれない人がいたとします。従来の思考では「私に対して何か気分を害してるのでは」との考えが浮かんだとします。対して合理的な考えを想像すると「気づかなかったのかな」とか「考え事をしてたのかな」とかの思いに至ります。でも、心の傷が深かったりすると頭ではわかっていても感情が従来の思考を手放せないで苦しみは続きます。そこで、中間の考えや第三の考えを想像します。例えば「自分のことを嫌っているのかもしれないが、違うかもしれない。本当のことは彼にしか分からないので考えるだけ無駄だからやめよう。今やることに集中しよう」など。

 それでも、不安を100%取り除くなどということは人間なので不可能です。そこで、マインドフルネスのワークを通して、「今、この場」に集中することを学んでいきます。

 自分の考えを否定することなく新しい考えも模索し、今この場に集中して感情を和らげることを学んでいく心理療法です。対人関係において心の葛藤を和らげていき、人と接することが楽に感じることによって対人関係そのもが健全なものへと変わっていくことを目指します。ご相談・ご質問などございましたらお気軽にお問い合わせください。